【必見】スタートまであとわずか!あの“じてこ先生”がインボイス制度を解説! SPPOニュースレターVol.105
2023年もあっという間に3ヶ月が過ぎようとしています。
10月スタートのインボイス制度まであと半年と少しですが、ご準備はお済みでしょうか?
この制度のとっつきにくさに不安を覚えている方も多いのではないでしょうか。
いま一度、インボイス制度について、
「じてこ先生」としてSNSでも有名な元国税税理士・笹圭吾先生に解説していただきましょう!
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1 消費税の計算について
まずは、原則的な消費税の仕組み を簡単にお伝えしていきたいと思います。
消費税の原則的なお話ですが、消費税は消費者が納付するわけではなく、
事業者が消費者からいったん、預かってまとめて納付することになっています。
その計算方法は、もらった消費税と払った消費税との差額で求められます。
売上と経費の関係と同じです。
特徴として、消費税上の経費には人件費が入らなかったりするので、
「事業所得は赤字でも消費税は払わないとダメ」という
事業者泣かせに繋がってきます。
2 免税点制度について
なぜか免税されている人がいるってほんと?
消費税の納税者は「消費者ではなく、預かった事業者である」というお話ですが、
もらっているのに払わなくて良いというルールが存在します。
それが、小規模事業者の金銭的、事務的な負担を軽減する目的で
設定されている免税点制度です。
この免税となる事業者とは、
ざっくりいえば、基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円以下の事業者です。
開業後1年目と2年目であれば、2年前には開業していないので、
実質、開業後2年間は免税となる事業者が多くなります。
この浮いた消費税のことを「益税」と呼ばれることもあります。
そして、
この益税の解消こそが、今回のインボイス制度の狙いなのではないか
と言われているのです。
この益税問題がなぜ発生したかという事情について、
少し歴史的な背景をお伝えします。
まず、平成元年の竹下内閣の時に3%で消費税導入したわけですが、
元々の構想は税率5%でした。
しかし当然ながら、中小企業事業者の反発が起きました。
今まで累進課税(同じ所得でも税率が違う)が中心の税体制であったのに、
消費税は企業の大きさ(担税力)に関係なく、
同じだけ負担(率)が発生するという性質のものであることから、
相当な反発となりました。
この反発を解消するため、税率を3%にし、
基準期間の課税売上3,000万円(現在は1,000万円)以下の中小企業は
払わなくてよいという免税点制度を創設し、
さらに計算を簡単にする簡易課税制度という制度を併設することで、
ようやく消費税の導入が叶ったという背景があります。
中小企業を守るため、担税能力のある大企業との差別化を約束して始まったというわけです。
このことから、政府にとっては、
この導入時の負の遺産要素である
免税点制度(益税解消)がインボイス制度導入の背景にあるのではないか
と言われています。
3 インボイス制度について
では、その益税解消策といわれるインボイス制度はどういうものなのでしょうか。
先述したとおり、消費税の計算は
「もらった消費税-払った消費税」の差額を納付するということになっています。
インボイス制度導入後は、この払った消費税について、
払ったことを証明する領収書等に国からもらった番号を付されていなければ、
消費税上の経費(課税仕入)として認めません、
というのが、今回の制度の中心的なものです。
この番号を付した領収証をインボイス(適格請求書)というものになります。

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf
そして、この適格請求書に記載する番号を国からもらうためには、
課税事業者になっていないとならないという仕組みが
今回、小規模事業者からの反発に繋がっています。
なぜなら、免税事業者であれば消費税を払わなくてよかったのに、
インボイスを発行するためには課税事業者にならないとダメ。
かたくなにインボイスを発行せず、免税事業者のままでいようとすれば、
今までの取引先がほかの事業者に変更して売上が一気に下がる可能性があります。
圧倒的な力があって、
「あなたじゃないとダメなんです」と言われるようなフリーランスは稀で、
基本的には代替可能なライバルが存在していることでしょう。
そのライバルのフリーランスの領収証が経費化できるのであれば、
そのライバルに仕事を持っていかれてしまう、という流れです。
ということで、結果的に小規模でやっている事業者の方も含めて
全員が課税事業者にならざるえないという状況に
非常に大きな反発が生まれています。
4 まとめ(私見です)
この制度は、2023年10月から施行される予定になっています。
現在、個人事業をされていて、現時点ですでに消費税を納めている方は
手続きを早めにしておいても問題はないと思いますが、
現時点で免税となっている方に関しては少し待った方が良いような気がします。
反発の意思表示とでもいうべきか、
制度開始時点でインボイスの申請事業者数が少ない場合
そのルールは絵にかいた餅になり、制度を軟化させる傾向があります。
実際に、2023年2月現在、軟化されつつあります。
ただ、私のようなビジネス好きな税理士は制度への批判などするよりも、
「この制度変更に乗じて儲かっている会社はどこなのか?」
「自分もその恩恵を受けるビジネスができないか」
等を思考した方が良いのではないかと思っています。
よく分からないまま批判している人が多いように見受けられます。
ルールというものは、良い効果だけではなく、
反面としてダメな効果も併せ持ちます。
インボイスを廃止したところで、短期的な弱者救済にしかなりません。
そのフリーランスをより稼がせてあげる体制づくりの方が重要なのではないでしょうか。
要は、ルールが重要なのではなく、
そのルールを活かせているかどうか、
そのルールを最大限に活かせる方法を考える必要があるでしょう。
また、「助成金や補助金がたくさん出ているところをどう見るか?」
「学者目線で社会問題として議論して終わらすか?」
それとも「補助金をもらえてガラクタ増やしてラッキー」として終わらせますか?
経営者からすれば、そのお金の流れこそ「トレンド」です。
そのトレンドを、常に自分のビジネスに活かせないかを考えることで
好循環を意識したいと常に思っています。
上記は、あくまで私の私見ですが。
2021年10月時点の動画になりますが、こちらも良ければご覧ください。
【税理士解説】インボイス全貌 2021年10月30日配信
https://youtu.be/IgJNYIBHPnM
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【記事執筆者 プロフィール】
笹圭吾(じてこ先生SASA元国税税理士)
大学卒業後、大阪国税局で国税調査官として17年勤務。
SNSの登場で個人が活躍できる時代になったことを受け、国税局を退職し税理士として独立開業。
税理士の集客目的で始めたSNSが大バズり、TikTok12万人とInstagram7万人、
YouTube2万人のアカウントに成長。
そのおかげで独立開業1年で110社と顧問契約する等、集客は成功するものの
心が豊かになれていないことに気づき、1年6ヶ月で税務顧問業から完全撤退。
現在は、士業を中心とした経営者コミュニティをメタバース上につくり、
日本の技術や文化を世界に届け、日本のファンを世界につくる活動を行っている。
2023年6月に「日本で一番楽しい税金の授業」日本ビジネス書新人賞受賞作品を発刊予定。
執筆者へのコンタクト→ https://lit.link/jitekosensei
メタバース士業交流会への参加は【完全無料】です。
※「じてこ」は執筆者の出身地である和歌山の方言で「自転車」のことだが、
特に自転車が好きであるなどのストーリーは無い。
SNSを配信する際に和歌山県人が振り向くフレーズを使いたかったというのが背景らしい。
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なお、次回開催のSppo会員特典無料招待セミナーでは、
株式会社TREASURY CFOの江野澤 藤利 氏をお招きして
インボイス制度について解説していただきます。
お問合せはメールかフォームにて
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メール backoffice@sppo.jp
イチから学びたいです。
よろしくお願いします。